ー30年前ー
「また、行くの?」
「ああ。最近、調子がいいんだ。他の村人とも上手くやっていけてると思うし」
「全く、お前さんは無理しすぎるから倒れたりするんだよ」
女は、苦笑すると青年も笑いだした。
「今回は、何処に行くの?」
「王都だよ。やっと王と話す機会をもらえたんだ」
にこやかに笑う青年を見て女も「よかったわね」と笑いだす。
「ああ。だから、絶対成功させてこの村も豊かにするんだ! だから、あと少しだから待っていてくれ母さん」
「ええ。もちろんよ。成功して帰ってきたらたくさん手料理を作って待ってるわ」
言い終わると「楽しみしてるよ」といい青年は立ち上がった。
「じゃあ、行ってくるよ」
「どうか無事で帰ってきて…」
青年は、笑顔で出ていった。
女は、その後ろ姿を見えなくなるまで見ていた。
ここまで、言い終わると老婆は、またため息をつく。
「もしかして、その青年ってやつが俺の親父…?」
「その、まさかじゃ」
「全然悪そうに見えねぇじゃん!」
「ああ。そうじゃな…」と老婆は、何処か不安な顔をした。
「じゃあ、女ってやつは?」
「時期にわかるだろう…」
「そっか…」
そういい終えると、老婆は続きを話始めた。