先行っていいよ、とは言ったものの
自分たちが先に来てしまった。
「それで沙奈、何か話したいことがあるんだよね?」
「うん…」
沙奈があまりに言いずらそうにするからますます気になった。
「あのね、私…」
「うん?」
「…愁くんが好きなんだ」
一瞬だけ時が止まった気がした。
「そ、うなんだ!それならもっと早く言ってくれればいいのに!」
思っても無いことを口走ってしまう。
「奈子仲良いからもしかしてって…」
「そんなわけないじゃーん!」
「良かった~。協力してもらえる?」
「もちろん!」
あたしも愁が好きなの。
そんなこといえるはずも無かった。

