ただひとつだけ。

「奈子ちーん!!」


金髪で両耳には数え切れない程のピアスがついている。


玄関のインターホンで叫んでいるこのお兄さんは

ー藤波愁ー


近所のおばさんたちは嫌な目で見ている。



「ちょ、待って!あとちょっとだから!」


家の中でドタバタと用意している茶髪のお姉さん。


ー和泉奈子ー



声は慌てていてもスカートをゆっくり綺麗に曲げている。











--ガチャン


「愁ーごめん!」


「別にいいけど遅れんじゃん。早く後ろ乗って」


「うん」


学校までの道を2ケツで通るこの2人はいわゆる幼馴染。


2人とも両親がいない為に1人暮らしだ。