「広い…ここ一人で住んでるんですか?」
あたしが連れて来られたのはマンションの十数階で、かなりの高さと広さだった。
「大学からここに住んでるよ、弟が中学の時は弟もここ住んでたけど。たまに弟も家出して来るけど」
「仲良いんですね」
「うーん、あいつにどう思われてるかわかんねーけど」
洸人さんはスーツのジャケットを脱ぐ。
夏なのにそれを感じさせないくらい黒で固められている。
「あー好きなところ座っといて」
そう言われてもぎこちなくて、ただテレビの前のソファの端の方に座った。
「あー冷蔵庫なんもなくてお礼になりそうにないけど、いい?」
「あっ、なんでもいいです!」
今この瞬間が夢みたいだった。

