私の体は、硬直したままで…!動けなくて。

下を向いたままだった…。


「美佐ちゃん?」


目の前にいる、武司君に、呼ばれた。


「昨日、あいつが言ったこと、気にしないでいーから」

「…………」


『お邪魔します!』って、言った武司君の友達の事か…!


「うん。」


私は頷いたまま。


やっぱり見られてたんだよね。


バスが、大きなカーブを切って私の体がまたまた、斜めになる。


「捕まってれば?」


武司君が、言った!


あのー何処に?


捕まっていーの?


のん気に、考えてる暇じゃなかった。

バスが激しく、揺れる。


工事中の道路は、セメントではなかった。


砂利道で勢いよく、バスが通った。


私は、とっさに武司君の、腕を掴んだ!?


それは…。

ぎこちなく…。


制服を指で挟んでる感じで…!

捕まってるって言うの?


でも、安心する…。

胸が熱くなるって、こんな感じなんだ。

嬉しいんだけど苦しい。


「美佐ちゃん?」


またまた、武司君の声!

今度は、何だろう?


「はいっ!」


武司君の顔を、見る。


なんだかんだで、武司君の顔を、ちゃんと見るのは、今が初めてかもしれないや!


「着いたよ!」


「えっ?」


私は、バスが止まった事さえ、知らないまま、武司君の腕に捕まった状態だった。


恥ずかしいっ!!


「ごめんっ!」


私の手はすっかり汗ばんでいた。



.