愛子は、何度もしかたないって言う。


だけど複雑な気持ちが消えなかった。


もう、別れた私たちだけど、かず君の気持ちを知ってしまった以上…。

前みたく振る舞う事は無理で!

私は、愛子の後ろをゆっくり、ゆっくり歩いていた。


「美佐のクラスは隣でしょ?」

間違った!


一年生の時だったら、一緒に入っていたのに…。


別のクラスなんだよね!


癖で、愛子と入りそうになっちゃった。


何だか淋しい…。


しっかりしなきゃ!!!

私は、愛子の存在の大きさに気付いた。


そしてUターンして、教室に入ろうとした時。


「美佐!」


かず君が目の前に立っていた。

やっぱり、気まずいよ。


付き合っていた頃と、少し痩せたかな?


「メールありがとう。」


「美佐ったら、全然気付かないんだもんな!
昨日はどうした?休んだりして…。」


あのー!

ごめんね!やっぱり駄目。

視線、気になって…。

さっきから、こっち見てるんだよね。

窓側の男子集団の一人。

武司君の目線が…?


「…うん。昨日は具合い悪くて。」


嘘ついちゃった。


何だか、いっぱいいっぱいだ。

視線を合わす事も出来ない。

そして、足早に席に座った。


確かに、武司君こっち見てた!

あんなに、綺麗な目で見られると胸が痛いや。


今になって、席が1番前だった事に感謝している。


誰にも、声かけられないし。

授業にも目がいく。

ただ。

元カレのかず君と片思いの武司君。

二人共、同じクラスメイト。


『仕方ない。』


私は、何回もその言葉を胸の奥で繰り返した。


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