嗚咽が響く。
静まり返った夜に、ポタポタと涙が落ちる。

赤坂さんに肩を抱かれたマキさんは、声を出して泣き始めた。
ずっと我慢していたのだろう。
泣けば、笠原さんの死を受け入れてしまう事になる。
ずっと、ずっと我慢していたのだろう。

まるで小さな子供の様な鳴き声が、途切れることなく暗闇に溶けていく。


マキさんを見詰めていた俺の肩を、瑠衣がポンと叩く。
「おめでとう」
「あ、ああ・・・」

そうだ。
これで3人目。
これで、果穂に会うことが出来る。

「あのさ」
「何?」
瑠衣が顔をしかめながら、次の言葉を繋ぐ。
「黄泉送りの数珠が何なのか知ってるの?」
「え?」
「黄泉送りの数珠はね──」

その時だった。
俺の頭の中に、あの声が響き渡った。



──来イ。今スグ、ココニ来イ──