20時過ぎ───
赤坂さんは私服姿で現れた。ミニスカートにノースリーブという、かなりラフな服装だ。というか、目鼻立ちがクッキリした派手な顔立ちなので、結構目立つ。

「マキは少し前に帰ったから、すぐに行きましょう」
赤坂さんは、そのまま駅に向かう。
「今更だけど、できるだけ早い方がいい」
瑠衣がポツリと呟いた。

瑠衣が何に気付いて、何を考えているのかは分からない。だが、余り良くない状況だという事は雰囲気で分かる。


電車は通勤ラッシュのピークを過ぎ、シートが疎ら空いていた。夏休みということもあり、学生が見当たらない。俺は扉付近に立ち、無言のまま外を眺めていた。

多分、2人とは全く別の事を考えていた。

マキという人には申し訳ないが、これで3人目の悪霊。手早く終わらせて、果穂に一時でも早く会いたい。

悪霊なんか、俺には関係無い。
俺は果穂に会いたいだけなんだ。