その時だった──
「ちょっと良い?」
不意に声を掛けられ、驚いた声のした方向に反射的に振り返った。
そこには、先程行っていたショップの制服を着た女性が立っていた。見覚えがある。カウンターの真ん中に座っていた店員だ。
「何ですか?」
瑠衣が一歩前に出る。コイツは何でこんなに好戦的なんだ?
追い掛けてきたであろう店員は瑠衣の敵意を受け流すと、俺達に歩み寄ってきた。
「貴方達、本当に霊が見えるの?」
俺は瑠衣と顔を見合わせ、首を縦に振った。
「私の名前は、赤坂 雪乃。話したい事があるから、少し時間をもらえない?ランチごちそうするから・・・どう?」
俺達は赤坂さんと駅前の喫茶店で12時に待ち合わせをすると、とりあえずその場を離れた。


