階段を降りようと振り返ると、そこに何者かが立っていた!!

まったく予期せぬ事態に、驚きの余り絶句。反射的に後退り、距離をとりながら必死に動揺を抑え込む。

一体何が・・・?
ああ、そうだ。
こいつだ。
追いかけていた人影は、こいつに違いない。
しかし、なぜだ?

正面玄関側に立つ人影。その姿に違和感を覚えた。なぜなら、それはあくまでも人影であり、霊ではないからだ。


立ち止まる俺との距離を詰める様に、人影が動き始める。ユラユラと近付く人影との距離を、ジリジリと後退して一定に保つ。俺が通路の闇に飲み込まれ、人影が窓から射し込む日差しに照らされる。

その姿に再び絶句する。
人影は確かに霊ではなかった。しかし、人間とも呼べなかった。半分以上白骨化した頭部の髪は抜け落ち、落ち窪んだ目からは眼球が垂れ下がっている。

既に黄ばんで朽ちかけているタバコをくわえた口元を吊り上げ、ニヤリと笑う。その拍子に、骨が剥き出しの頬から大量のウジが床にボトボトと落ちた。


何なんだ!!
一体、どんな理屈で───
次の瞬間、半ば白骨化した男が右手を振り上げた。

その手にしている物を見て、俺はギョッとする。長さ2メートルはあろうかという、鉄パイプを握り締めていたのだ。