ほとんど眠れなかった俺は、早朝から瑠衣に電話した。

「・・・誰?」
「ああ、俺、和泉だけど」
「雅治かあ・・・何時だと思ってんの!!5時半よ、5時半!!寝てるっつうの!!」
ムチャクチャ不機嫌だ。

「ったくもう・・・で、生きてるんだ」
低音で、今にも怒鳴りそうな声の瑠衣。
「何とか。夜中に来た時には、正直ダメかと思ったけど」
「ふうん。早朝から電話してくる奴は死ねば良かったのに」
おいおい・・・

「まあ、あの子は大丈夫でしょ。まだ生者を巻き込む程ではないし」
「知ってるのか?」
「うん?まあ、見た事があるから。で、言った通りにした?」
言った通り?
ああ、耳を傾けらってヤツか。
「一応な。何か、─ここじゃない─とか聞こえてきたな」
「それが、呪いのコトバよ」
「呪いのコトバ?」
「そうよ。もういいでしょ。私は寝るから、あとは自分で何とかしてよね」

ブツっという音と共に、電話が一方的に切れた。一瞬呆然としたが、時間帯を考えれば話をしてくれただけマシかも知れない。