刹那腐レンズ【あたしとあいつ】



今日はあいつの誕生日。

あたしはいつもより早く学校へ行った。




おはよう。

あいつは自分の誕生日だからなのか、朝一番にきていた。


渡すチャンスだったのかもしれない。

でも、眠っていた。

そんな寝顔でさえも可愛いと思ってしまう。




そんなこんなで、次々とクラスメイト達が教室へはいっていく。


「これなに?」

あたしの机の上に置いてある、紙袋を指差す友達。

「・・・。」

あたしは何も言えなかった。









「さやかちゃんのプレゼントほしい?」
「・・・うん。」

柄にもないことをいう。


あたしはそれでも、手にもった紙袋を渡せなかった。








「ねぇ・・・これ」

それだけ言って、あたしはあいつから離れた。

「ありがとう」


あたしの背中にいった、あいつの声が聞こえた。