桐山は静かに乗り、運転をし始めた。

「桐山はさ、私に婚約者がいること知ってたの?」

「はい。お嬢様がご誕生されましたときに既に決まっていました。」

「そうなんだ。」

私達の会話はそこで終わった。

しばらくして、竹園基地に着いた。

「お嬢様、お着きになりました。」

桐山は正面玄関前に車を止めた。


桐山は静かにドアを開けた。

「ありがとう。じゃ、私は行ってくるわ。」

「かしこまりました。」

私は、歩き出した。

中に入ると、竹園基地のスタッフの支配人である海東麗が待っていた。

「お待ちしておりました、お嬢様。
桐生春斗様がご到着予定のフロントはこちらでございます。」

「ありがとう。」

私は歩き出した。私の後ろを海東は付いて来た。

しばらく、そこで待っていると桐生家の秘書に付き添われて、桐生春斗が姿を現した。

「お待ちしておりました、桐生様。」

「こんちには。初めまして、竹園香澄様。」

「それでは、参りましょうか。」

「はい。」

私達は特に会話をすることも無く、歩きだした。