「おはようございます。」
セレブ学園だけあって朝から正門前には大勢の送迎車、その周囲には車から降りたお嬢様やお坊ちゃまたちがあいさつを交わしている。
そんな中私の執事である、桐山は正門前中央に車を止めた。
なぜ、そこなのかというと私はこの学園の理事長竹園 博文の孫であり、来年度の生徒会長だから。
あ、ちなみに生徒会長になったのはおじい様の権力とかではなく、自分で・・・。
車が止まり、桐山は後ろのドアを開けた。
「お嬢様、学校に到着いたしました。」
「ありがとう。桐山。」
私が、降りると桐山は帽子を取り頭を下げた。
「行ってらっしゃいませ。」
私は、歩きだした。
すると、そこに居た生徒全員が道を開け、私に頭を下げた。
正直私はこの状況が嫌でいつもみんなに普通にしてと言うがみんな言うことを聞かないのでもう、諦めた。
それを通り抜け、校舎に入ってもその状況は続く。
しばらく廊下を歩いていると、叔母である竹園 花恵(父の妹)にあった。
「おはようございます。叔母様」
「おはよう、香澄。あ、さっきお父様(理事長である私のおじい様)が呼んでたわよ。
何か、急に転校生が来るとかなんとかで・・・。」
「わかりました。このままお伺いしてみます。では、失礼します。」
私は、叔母様に頭を下げ、理事長室へと向かった。
[コンコン]
私は静かに理事長室のドアをノックした。
「はい、どうぞ。」
中からおじい様(学校では理事長)の声がした。
「失礼します。香澄ですがお呼びとのことで参りました。」
「あぁ、香澄か。待っていたよ。実は今日香澄の婚約者として桐生春斗くんがアメリカから帰国したんだ。」
「えぇ、私に婚約者がいることは以前より知らされていました。」
「なら、話は早い。今日から、私が用意したマンションで2人で暮らして欲しい。
あと、生徒会のメンバーとして入って欲しいと考えておるんだがどうかね?」
私は驚いたがおじい様の頼みなら仕方ない。
「かしこまりました。」
「さっそく悪いんだが、今桐山を呼んだから竹園基地(空港)まで迎えに行ってくれ。
桐生家の自家用ジェットで来るらしいから。で、今日は公欠にするから家具や日用品等の買出しに行ってこい。場所はエレメントショッピングセンターを貸切にしている。」
「わかりました。では、行って参ります。」
私が、正門に着いた時には、桐山がドアの前で立って待っていた。
「お嬢様お暑いのでお乗り下さい。」
桐山は日傘を差しながらドアを開けた。
「ありがとう。」
私が乗り込んだのを確認すると桐山はドアを閉め、日傘をたたんだ。

