実は、彼女はご主人様でした。

「私は既に殺されていた。お前が私の血を売ろうとしていた奴らにな。一滴残らず抜き取られた血肉は跡かたもなく消え、そしてお前は、私の血肉を利用した人々が自分たちの死の原因として処刑された」

「そうだ…。なぜ私が死なねばならん。俺はお前の力を欲している奴らにお前の血肉を売ろうとしただけだ。むしろ感謝されなければならないくらいだ。なのに、奴らは俺のことを邪険にしおって…しかも、勝手に血を飲み、肉を食べ、勝手に死んだのは俺のせいじゃないではないか。なぜ、俺が殺したことになるんだ。全く…何とも許しがたいことだ」

「お前が私や人々殺したことには変わりはない。だが、私はちゃんとお前に感謝をしているぞ」



桜雪は妖艶な笑みを浮かべ、父親に近づいた。

意外な言葉に、父親は一瞬だが、驚いた表情を見せた。



「ほう、感謝しているか。お前の口から出るとは意外だな」

「お前が私を売ってくれたおかげで、私は自分を殺した相手に報復をすることができた」

「あ?それはどういう…」

「奴らは私の血肉を吸収することによって確かに力を得た。だが、あくまでもその力をコントロールするのは私だ。映像を再現して、その世界に触れることができたとしても、それだけだ。そこから都合よく映像を変えることができるのは、私以外にはいない。そのおかげで、私は奴らの映像を都合よく変え、心を壊していった奴らは自ら死を選ぶ奴もいれば、他人を傷つけ、殺す奴もいる。壊れた奴らによって、お前は自分の地位を失い、命さえも奪われたのさ。どうだ?それこそ滑稽だろう」