実は、彼女はご主人様でした。

「俺ね、好きなんだ。美倉さんのこと」

「……え…」



断られることは分かっている。


特にイケメンなわけじゃない。

成績だってど真ん中でいたって普通。

運動も飛び抜けてできるわけじゃなくて人波程度。

つまり、一言でいえば平凡止まりの一生徒が、超モテモテの美少女に告白したところで付き合えるわけじゃない。


分かっているはずなのに、なぜここで言葉に出してしまったのか、真人は自分自身の軽率な行動に呆れた。


現に言葉を受けた桜雪は考え込み、下を向いている。



「藤井君」



桜雪の声に真人は覚悟を決める。



「…何?」

「放課後、教室に残ってて。私と藤井君が二人きりになるまで」

「あ、あぁ。分かった」