実は、彼女はご主人様でした。

喜ぶ。


確かに喜ぶべきところだ。なのに、心がそれを複雑に受け止めている。



「確かに喜ぶべきところなのかもしれない。けどさ…」

「けど、なんだ?」

「俺さ、桜雪に一目惚れして、同じクラスになって席も隣になってようやく話したんだよね。その時にはもう、今の桜雪だったわけで…」

「………」

「だからさ、俺、今の桜雪しか知らないんだよね。今の桜雪が俺にとっては桜雪なわけ。同じクラスになって間もないけどさ、それでも俺が桜雪のことを好きなままってことは、今の桜雪のこと好きなんだと思うんだ」

「………」



真人の言葉を受け、桜雪は胸に手を当て、真人を見つめた。
顔はほんのりと赤く、口は半開きで、何かに焦ったような表情をしている。



「大丈夫?」



見たこともない桜雪の表情に、真人は心配した言葉を投げかける。