実は、彼女はご主人様でした。

「はい。もう大丈夫。一人じゃないし、ちゃんと来たから恥ずかしくないでしょ?」

「そうだな。じゃ、こっちだ」



相変わらず、切り替えが早い。その早さにはたまについていけないところがある。

一緒にいることで、多少は慣れてきたものの、やはり、たまに寂しい時もあったりする。

だが、結局真人は返す言葉もなく、桜雪の言う通りにするのだった。


桜雪の案内により、真人はついに、インテリアに凝った家の中に入る。



「お邪魔します」



初めの言葉は肝心だ。

この言葉を忘れるだけで第一印象が随分変わる。


真人は第一段階のクリアを心の中で呟いた。


桜雪の差し出してくれたスリッパに履き替えると、長い廊下の先にあるリビングに入る。


予想していた通りの広いリビングに、セミオープン型のキッチン。そして、キッチンで忙しく動いている桜雪の母親と思われる女性と、リビングにある大きなソファにどっしりと座っている父親と思われる男性が一人。


一番初めよりも、ここが重要な場面だと覚悟を決めた真人は、入ってきた扉付近で深々と頭を下げ、大きな声で挨拶を始めた。