実は、彼女はご主人様でした。

気を失っている男子生徒のことを気にもせずに、ただ、真人の質問に答えている姿は、過去の記憶がない真人の目には異様に映った。



「三つ目。その黒い…負の感情は、何故必要なわけ?」

「私にとっては、これがないと自分の力を保つことができない。言わば力の源とも言える。だからだ」



力の源。



今は桜雪の体に生まれ変わり過去とは違う時間を生きているはずなのに、何故力が必要なのか。



「何故力が?」

「何故、ねぇ…」



桜雪は苦笑いで返した。



「……?あぁ、そうだ。そういえばさっき、一度も体験したことがない、って既視感の説明をしてたけどさ、俺が見た桜雪の既視感は何だったわけ?過去の記憶だよね、あれは」

「あぁ、あれか。確かに過去の記憶だが…正確に言えば、桜雪の既視感だからな」

「?だから、桜雪は今の桜雪じゃ…」

「どうする?これまた複雑だが、説明は必要か?」

「……あぁ、ぜひ聞きたいけど…今この状態のまま俺たちがここにいるのも、後々面倒なことになりかねないから、出来れば後日にしてもらってもいいかな?」

「分かった。では、日曜日、予定は空いてるか?」

「…?あぁ、空いてる…」

「じゃ、我が家に来てくれ。両親を紹介しよう」

「はぁ?」