実は、彼女はご主人様でした。

「美倉さん…近い…」

「気にするな。それよりもお前、今もその力があるだろう?」

「え…」

「答えろ。既視感が見えているだろう?」

「見える」

「…では最近見た既視感を思い浮かべてみろ」

「は?」

「いいから。早く」



桜雪に言われ、真人は今日見た桜雪の既視感を思い浮かべた。


その途端、教室内だった景色が桜が舞う景色に変わった。

まるでビジョンの中にいる様な感覚。


真人は立ち上がると、すぐ側にあるはずの机に触れようと手を伸ばすが、そこには何もなく、手はすり抜けていった。



「え…どういうこと?」



あり得ないような出来事に、真人は呆然とその景色を見ていた。



「私は、その既視感の世界を再現することができる」

「え…」

「これを利用して人の心を惑わせていた」

「…え?」

「私は悪い心を持った魂だった。いわゆる悪霊だ」