実は、彼女はご主人様でした。

「なぁ、真人」



学校の放課後、夕焼けが映える教室の中、桜雪と真人は2人で教室の窓から景色を眺めていた。



「何?」

「私、大学に進学したら一人暮らしをしようと思っている」

「一人暮らし?桜雪が?」

「何、おかしいか?」

「いや、何と言うか想像つかない」

「はは。そうか、おかしい…確かにそうかもな。でも、そう決めたんだ。大学卒業するまでは色々なところで母親にお世話になると思うが、ちゃんと返すつもりでいる。一人暮らしの費用は当然バイトする」

「バ、バイト…これまた想像つかない…」

「私が生きて来た環境は何一つ自由がなかった。だけど、今は自分次第でどうにでもなる。何も進めることをせずに、自分を立ち止まらせたままよりも、私は進んで行きたい。それが、生きると言うことじゃないのか、と思うんだ」

「そうだね。どんなに突き進んでいったとしても、俺は桜雪の隣から離れるつもりはないよ」

「当然だ」

「……ん?」

「当然だと言っている。なぜなら、お前は…」

「今は太郎じゃないし」

「あぁ、そう。確かにそう。じゃ、なくて、お前は私のことを好きだからだ」

「………」