実は、彼女はご主人様でした。

自分の意思を押さえ、本来の桜雪が真人と向き合い、笑顔で過ごしている日々を想像してみる。それが本当にあるべき姿だとしても、嬉しく思えない自分がいることに気付いた。


そう考えると、胸が締め付けられ、息苦しく感じられる。安心感はどこにもなく、自分が過ごしてきた孤独以上の不安が訪れるようで恐ろしく思えた。



「それが、本当に好きだと言うことなんです」

「え…」

「戸惑うことないじゃないですか。だって、あなたは自分の意思で藤井君と付き合うことを決めたんですから。今更自分に嘘を着くのは止めた方がいいですよ」

「それについてはすまなかったと思っている。だから…」

「なかったことにとか思ってますか?それは嫌です。私はあなたを通して、恋と言うものを知って行きたいんです。それに、あなたの彼氏はあなたが消えることは望んでいないはずですよ」

「…真人…が…」

「彼は何度も言ってたじゃないですか。俺の知っている桜雪は、あなただって」

「………」

「実際に、私と彼が向き合っても私は彼のことを名前で呼べないですし、彼は私を彼女だと思ってないです。彼と向き合うことができるのは、あなたしかいないんですよ」



本来の桜雪がもっと強く桜雪を抱きしめた時に、真人が二人近づき、その上から覆いかぶさるように二人を包み込んだ。