実は、彼女はご主人様でした。

「それに、あの両親と本当の決着をつけなければならないのは、あなたではないんですか?」

「!」

「両親の負の感情を抜き取り、当分は安全に暮らせるのかもしれません。ですが、負の感情は生きている限り必ず生まれるもの。そうなったときに、私はまた逃げてしまうかもしれない。今までの時間で私は逃げることしかできなかった。どうにかしようと思ったのはあなたがいたからです」

「それは桜雪に普通の時間を過ごして欲しかったから…」

「はい。これで当分は普通の時間を過ごすことができると思います。だけど、この普通の時間が過ごせる内に私は沢山のことをやらなければなりません。分かりますよね…」

「それは分かる。今の内に逃げれるのなら、逃げる方がいい。もしくは、両親が離婚して、過去とは違う人生を歩ませることによって、過去との縁を断ち切るか…」

「はい。とにかく過去と同じことだけは避けなければならない。私には…荷が重すぎます」



本来の桜雪は桜雪を抱きしめ、頭を撫で始めた。



「………桜雪?」

「私はあなたの魂の一部を持って産まれた。そしてあなたは一部を失った。それなら、私はあなたと一緒になります。そうすれば私はあなたになり、あなたは私になる。桜雪は本来も過去もない一人になります。いいアイディアだと思いませんか?」

「え…」



本来の桜雪は優しげな声で桜雪に囁く。