実は、彼女はご主人様でした。

負の感情の一部を持って産まれたために、人よりも複雑な心境を常に持っていたこともあったのかもしれない。同じ桜雪のはずなのに、何かが欠落していて、何かが足りない、そんな心境を一人で抱えながら桜雪は今まで過ごしてきた、そう考えると真人は、目の前にいる桜雪という人物がより愛しく思えた。



「君はどうしたい?」

「どうしたい、と言うよりも、私は藤井君に協力をお願いしたいと思っています」

「協力?」

「はい。今から私は藤井君の知っている彼女に会いに行きます。藤井君にも見守っていてほしいんです」

「え、それだけ?」

「はい。今のところそれだけです。大丈夫…かな…?」

「それは全然構わないよ」



見守ると言うことは桜雪の体の中に入ると言うことなのか。

桜雪は心の奥底にいると、彼女は言った。
それなら、真人の解釈は間違っていないことになる。



「よかった。では、さっそく行きましょう」

「待った!確認なんだけど、俺も桜雪の体の中に入るという解釈で間違いない?」

「え?あ、あぁ、はい。間違ってないです。藤井君の魂だけがこちらに移動することになります」

「魂だけ!?俺の体は…」

「空っぽです」

「………」