実は、彼女はご主人様でした。

そして桜雪は久しぶりの体を得て、現世に足を踏みしめた。
 
目覚めたばかりの桜雪の体は病院のベッドに横たわり、数々の怪我によって自由が利かなくなっていた。

それでも体が横たわっている実感。物に触れることのできる実感を久しぶりに体験した桜雪は、ゆっくりと深呼吸をした。
 
空気が体内に取り込まれていく清々しさ。

生きている頃には感じなかった細かい行動が桜雪の神経を敏感にさせていく。



「そうだ。生きているってこんな感じだった…」



それから桜雪は様々な事を吸収し続けていき、気付けば傷も癒え、家族も何とか押さえ込むことに成功し、落ち着いた日々を取り戻していた。


そして訪れる真人との出会い。


同じクラスになった真人はいつも桜雪を見ていた。

桜雪も当然それに気付いている。

いつも見ていたからこそ知っていることだ。


様々な男子生徒から告白を受け、丁寧に断る日々。

本来の桜雪も恋人と言う存在に興味がなかったのか、ずっと断り続けていたらしく、桜雪の御断りの行動はいつものこととされていた。


そんな時に受けた真人からの告白。