実は、彼女はご主人様でした。

けれども、授業中とのシチュエーションは違う。
敢えて真人は席には座らず、桜雪の目の前に行くと、しゃがみ込み、席に座ったままの桜雪と向き合った。


少しだけ見上げるような視線で桜雪を見ている。


近くなった距離に、桜雪の表情は変わらないが、黙り込み、固まっていた。



「じゃ、もう一度お願い」

「了解。……俺、美倉さんのことが好きだ」



真剣な眼差しで桜雪に想いを伝える。


そして、これで苦しい想いに終わりを告げることができる。


真人は桜雪の言葉を待った。



「………もう一度…」

「……は?」



予想していなかった言葉に、真人は怪訝な表情を見せ、首を傾げた。


目の前の桜雪は笑顔のまま、言葉を続ける。



「もう一度言って」

「……えっと…好きです」

「……ふふ…」

「?」