実は、彼女はご主人様でした。

「彼女は負の感情を引き継いで産まれて来た。だからこそ、両親の険悪な場面を見ても無表情で過ごせてきた。だけど、負の感情は奥に貯めれば貯めるほど色濃くなっていく。そうすると、一応普通の人間として産まれてきた桜雪にもいつ力が目覚めるか分からない。そして訪れた無理心中。その時に、桜雪は彼女を助けるために本来の魂を奥に眠らせ入れ替わったんだ」

「じゃ、本来の桜雪のためってこと?負の感情を吸収するってことは」

「まぁ、それもあるが…真人の知っている桜雪のためってのもある」

「ん?」

「負の感情を持たないと言うことは、桜雪は悪霊と言う立場から抜け出せたと言うことにもなるが、同時に力もなくなるに等しいと言うことだ。自分が死んだ理由も、殺した理由にも関係していることだからね。彼女と入れ替わったものの、負の感情をあまり持っていない桜雪は入れ替わることだけに力を使い果たした。だから力を蓄えるために人々の負の感情を吸収することにしたということだ」

「なるほど。そういうことか…」



桜雪が負の感情を吸収する理由、確かに自分の力を蓄えるためでもあるが、全ては本来の桜雪のため。

その真人がいつも一緒にいた桜雪は、言葉使いは優しくもなく、性格もはっきりとしており、外見から想像していた性格とは正反対。

けれど、時を重ね、そして話を聞くたびに真人は桜雪のことを想った。