実は、彼女はご主人様でした。

桜雪の行動理由が分かり、イラつきが度を超えたことは自分でも分かっているはずなのに、怒りが口から出てこない。なぜか声が出ずに、口だけが動く状態のまま、真人は自身に起こっている状態に呆然としていた。


これが普通の同級生のやりとりなら激怒する出来事のはずなのに、真人の体は勝手に反応する。


溜め息をつく他、真人は自身を落ち着かせる方法が重いつかなかった。



「本当にごめん。ムカつくよね、こんなことされちゃ」

「…分かってるならなんでしたんだよ」

「ううん。今も変わってないんだな、とちょっとした悪い冗談だよ」

「悪い、冗談…ねぇ…本当に一応分かってるんだよね?」

「そりゃ、私だって今を生きているわけだし、ね」

「まぁ、そうだな…」

「本当に太郎のこと、大切に思っていたのよ、桜雪は」

「………」

「記憶がないのよね。知らないのは仕方がないわ」

「どんなに思い出そうとしても、全然かすりもしない。全く思い出せないんだ。せっかくの既視感もただの映像としてしか捉える事が出来ない。だから、教えて欲しい。過去のことを全て…」



過去に起こったことを知りたい。

知った上で桜雪と向き合いたい。

そして今起こっていること、それがどういう繋がりなのかも全て知りたい。


分かっているようで理解が出来ていないのが今の状況。