「っぶねー」



「あ…あの、ありがとっ…」



うぉっ!



いきなり振り返るとか反則だろ!



しかも今すっげー顔近いし。



あー、まじ可愛すぎ。



てか、ほっせーな。



ポキッて片手で折れそうだ。



「え…えと、あの…」



あ、そっか。



コイツ、オレが怖いんだっけ。



ちょっと涙ぐんでるし。



わかってても傷つくもんだな。



「うっ…うう…ごめんなさいー!!」



そう言ってオレの腕からすり抜け、落とした本を拾った日野は、ものすごいスピードで逃げて行った。



「ははっ。ありがとうじゃねーのかよ」



やっぱおもしれーな。



「…それより…んだよ、あの涙ぐんで慌ててる顔」



オレは1人階段で立ち止まったまましゃがみこんだ。



「ホントに可愛すぎだろ…」