「あ、ねぇ、那智ちゃんはいないの?」



「へ?!」



ははっ、那智ちゃんにしては珍しい間抜けな返事。



「ウチはぁ…」



那智ちゃんの顔がだんだん赤くなっていく。



これはいるな〜?



一体誰なんだろう?



「ウチの好きな人は…」



「うん!誰々?!」



早く早く!



「水沢」



ーズキン



え…?



「そ、そうなんだぁ」



「あー!もう!恥ずい!」



「那智ちゃん、顔が真っ赤だよ?」



「うそっ?!」



そう言いながら手で覆った那智ちゃんの頬は真っ赤だった。



本当に好きなんだな。



「那智ちゃんかわいい〜」



「うっさい!ほら、行こ!」



「ふふっ。はぁい」



笑いながら返事をして、那智ちゃんに続いてトイレから出た。



それにしても何だったんだろう?



那智ちゃんが水沢くんが好きって知ったときの胸の痛みは。



何か胸の奥からくるズキズキとした痛み。