「うしっ。瀬戸に頼んでみるかっ」



「え?!」



「じゃねーと補習なくならねーじゃん」



そ、そうだけど…。



「瀬戸ちゃんって結構頭かたいよ?」



「そこが問題だよな〜」



あ、水沢くんも思ってたんだ。



「どうしたら納得してくれるかな…って、水沢くん?!」



なんで窓を閉め始めてるの?!



今教室に戻ったら迷惑かけちゃうのに…。



「ん?ほら、日野も保健室出る準備して」



え?



「瀬戸に頼みに行くぞ」



「えぇ?!」



「何をそんなに驚いてんだよ。言い出したの日野だぜ?」



「そ、そうだけど、まだ瀬戸ちゃんを納得させる理由が…」



「んなもん思いつきでいーんだよ」



お、思いつきって。



水沢くん勇気ありすぎだよー。



「ほら行くぞー」



「え!あ、うん」



ーギュッ



ひゃぁ!



手!



手、握られてる!



ど、どうしよう。



うれしくて、恥ずかしくてたまらない。



このまま、離さないでほしい。



そんな願いを込めて、ギュッと握り返した。