そう言って笑う日野。



あぁ、この笑顔を毎日見れるヤツは幸せなんだろうな。



「あ、あのっ」



ははっ。



声が裏返った。



日野、めっちゃ恥ずかしそうにしてるし。



「あ、えっと、あたしね、水沢くんのことずっと怖いと思ってたの」



…え。



…やっぱそうだよな。



でも好きなヤツから言われるのはちょっとキツイ…。



「でもね、今日、こんなことがあって、水沢くんと話せて、優しい人だって知ったんだ」



オレが、優しい?



「だからこのケガのことは気にしないで」



もしかして、日野。



オレが罪悪感を感じないように…。



「優しいのは日野のほうだよ」



「えっ?!あたし?!」



「そう、日野」



「そんな、あたしは」



そこまで言いかけて日野は口を閉じた。



どうしたんだ?



今、何を言おうとしてたんだ?



なんか、オレが日野に言ってやれることはないのか。



必死で考える。



今にも泣きそうにしてる日野。



あ〜!



くそっ!



なんでオレはこういうときになんもできねーんだよ!



なんでオレは泣きそうになってるヤツになにも言ってやれねーんだよ!