パタン、というドアを閉める音がして。



ただただ真っ白な景色ではなく、おばあちゃんの部屋の丸テーブルやら、ティーカップやらが目に入る。


あぁ、戻ってきたんだ…と実感する。




……っていうか…




「おばあちゃん!このローブ暑いんだけど!!」



私は着ていたローブを急いで脱いだ。
だって、この黒いローブ、着てたらすごく暑い!!




ついでに黒いダサ長靴も脱いじゃう。





「しょうがないじゃない。雪の国用の服装だもん。今、こっちは夏だし。」




「あ、そっか。」




なんか、まだ雪の国にいるような、変な感じがする。




でも、ローブを脱いでも寒くないし、遠くでセミの声がうるさく聞こえている。


うーん、夏だな。




おばあちゃんは、部屋の本棚を漁りながらバタバタしてる。


私は、それを確認してからおばあちゃんの部屋を出てみる。



おばあちゃんの部屋には窓がなかったから、外の明るさとかが分からなかったけど。




廊下に出ると、夜明けが少し過ぎた時間くらいの明るさだった。
……夜に雪の国に行って、もう朝になってたんだな。




時間的にはまだ朝だけど、雪の国に繋がっているおばあちゃんの部屋よりかは、やっぱり暑い。


すでにムワッとした暑さが、体にまとわりつく感じがする。



セミの声も、大きさが二倍くらいになって聞こえる。
これはマジでうるさい…。




さっきまでの気温との差が極端すぎて、風邪をひきそうな気さえする。




「静かで寒い雪の国と、セミがうるさくて暑いこっちの世界……かぁ。」



エルノや、マグノアはこの暑さやうるささを知らないんだろう。
私が住んでいる、この世界とは正反対だなぁ。