魔法を使う一連の動きに見とれていたら、扉は完全に開いた。
それなのに動かない私を、パットは心配したのか、声をかけてきた。
「おい、扉開いたぞ?出ないのか?」
「あ…ありがと」
「ありがとうございますだろ!!」
…やっぱり言葉遣いにはウルサイみたいだけど。
早く出ないと怒られそうだし、ササッと扉の向こうへ。
国を囲む塀の外へと、私は出た。
扉の向こうで、私を見ていたパットにお別れの言葉をかけようと振り返る。
「じゃーね!パット!」
「さようなら、だ!!」
厳しい口調で正しい言葉遣いの指導をしながらも、パットはニッと笑った。
そのまま、扉は閉じられると思った。
……………けど。



