「もー何なの?結局、何も変わらないじゃない。今日とか女の子なんて連れちゃって。」
「本当にー」
「ですよねー!」
声が聞こえたのは、お店とお店の隙間にある路地だった。
そっと、路地を覗いてみる。
………え?
路地で数人で話をしていたのは、城に向かう途中でエルノに声をかけていた人たちだった。
「ハッ……王子なんか、期待できないよね」
「いや、最初からじゃん。王位も継げないのにさ…」
あの人たちは、何故か集団でエルノの悪口を言っていた。
エルノとあんなに話したそうにしていたのに。
あの時の態度は嘘だったの…?
とても、信じられなかった。
まだ悪口は終わっていなかったけれど、聞いていられなくて。
私は足早に、お店が並ぶ城下の通りを過ぎた。
表の顔と、裏の顔。
誰にでもあるもので、ただのそういうものなのかもしれない。
でもきっと、エルノは裏でこんなことを言われていることを知っていると思う。



