【完】ダンデライオン




エルノとまたこの国に戻ってくる約束をして。



私はフカフカなイスから立ち上がった。
……立ち上がるのが結構大変なくらい、沈み込むイスだったけど。




「森を通るの?…気をつけてね。」



「うん!ありがとね!」




しばらくの間、真剣に話し込んでいて体が固まっていたみたいで、動くと何だか痛みがする。



預かっていた本を入れていたリュックを背負って、長い廊下に出た。



執事のおじいさんが出口まで誘導してくれて、城外へ出た。



エルノは、見送りに来てはくれなかった。




さっきはエルノと二人で歩いたお店が並ぶ城下の通りを、もう一度。
今度は一人で歩く。




さびれているわけではないのに、何だか静かな町。



人がいないわけでもないし、暴動みたいなのが起こっているわけではないのに。



なんか、違和感みたいなものが………




「………?」




その違和感は、結局よく分からなかった。



だけど、どこからかヒソヒソとした会話が聞こえてきた。