何て声をかけようかと迷っていたけれど、もう、エルノの心は切り替わっているみたいでブツブツと独り言を言ってる。
「もっと色んな文献を見て調べないといけないかな……うーん、でも……」
その顔は真剣そのもので、一生懸命さがうかがえた。
力になりたいけど、私は知らないことが多すぎる。
答えの予測がつかない疑問がある中で、中途半端なことを言うのは、エルノを傷つけてしまうかもしれない。
いや、多分…傷つけてしまう。
現状をもっと知りたい。
そのためにも、もう一度マグノアとおばあちゃんと話したい…と思った。
でも、簡単に会えるものなのかな?
「…ねぇ、エルノ。この国の近くにある森に、狼が住んでいるでしょ?」
「ん?オオカミ?あぁ、そうだね。」
「私、この国に着く前にマグノアって言う狼に会ったんだけど…」
「マグノア……?」
エルノはマグノアの名前を聞いて、すごくビックリしていた。
マグノアについて知っているみたい。
「エルノ…マグノアのこと、知ってるの?」
「うん……まぁね。」
その反応は、どこかぎこちない。
「そうなんだ!じゃあさ!私、マグノアに会いたいんだ。一緒に森に行こうよ」
私はエルノに向かって右手を伸ばし、エルノを森に誘った。
エルノは私をじっと見つめたまま、全く動こうとしなかった。
「……?」



