「僕は、あまり魔法を使うのが好きじゃないんだ。」
エルノがあまり嬉しそうじゃなかったのは、それが理由だったみたい。
「この国が、こうなってしまっているのも…魔法が原因だからね。」
「坊主憎けりゃ袈裟まで憎い…ってヤツ?」
「………意味分かんない。」
覚えたてのことわざが、通じませんでした……
多分、合ってるんだろうけど。
「魔法では、物を動かすとか…衣類や食べ物を出すとか。そういうことはできるんだ。」
エルノは、私に魔法でできることとできないことを説明してくれた。
「ただ、自然環境に関することや…人の命に関することは魔法では変えたりすることはできない。」
……なるほど。
それで、この国は冬のままだし、王様を生き返らせることもできていない。
……あれ?
でも、この世界には永遠の命があるんじゃ……?
そこだけはエルノの説明と、決定的に話と食い違う。
「ねぇ、エルノ。人の命に関することは魔法は使えないんだよね?」
「うん。そうだよ。」
「じゃあ……何でこの世界の人たちには、永遠の命があるの…?」
私の疑問に、エルノはすごく言いにくそうに答えた。
「それは……分からない。」
「えっ?」
「それを含めて、僕はおばあさまと調べているんだ。誰がどんな魔法をかけて、この世界は永遠になったのか。」
まだ、分かっていなかったのか……。
「ずっと冬のままだとか、限りある命を永遠にするなんて…魔法では、できないはずなのに。」



