「……だから、僕は、」
エルノは、もう笑っていた。
「もう一度、取り戻したいんだ…この国の魔法をといて、時を進めたい。そうしたら、僕は国王になれる。」
「………!」
何となく分かった。
おばあちゃんは、エルノのために春を取り戻そうとしているんだ。
「僕も色々手だては探してるんだけどおばあさまも協力してくれてる。
異世界に住みながら調べてくれててね……それが、たんぽぽのおばあちゃんなんでしょ?」
「うん。本当のおばあちゃんではないらしいんだけどね。私はおばあちゃんに頼まれたの。」
やっと本題に入れた。
それに、事情も分かった。
私が頼まれたのはお使いだけ。
でも、何か…私に出来ることはないのかな……?
ひとまず、忘れないうちに本を返すのとおばあちゃんからの伝言を伝えなきゃ!
リュックから預かった本を取りだして、机の上に置く。
エルノはその本を見て、あっ…と声を出した。多分、本に見覚えがあったんだと思う。
「エルノ、ひとまずおばあちゃんから預かった本返すね。あと伝言。『手がかりはなかった』だって。」
「そっか……」
エルノは残念そうだったけど、がっかりした様子はなかった。
この言葉を、予想していたんだろうな。



