お城の前にもごっつい門番さんがいたけど、エルノの姿を確認すると追求されないまま通り過ぎることが出来た。
エルノについていって、お城の中に入る。
高い天井、長い廊下。
廊下の壁には、絵画などが飾ってあった。
派手な装飾はないけど、一つ一つの飾りや小物は全てがとても綺麗で優美で、高級品なのはすぐ分かった。
王子の帰城に、執事みたいなおじいさんがお出迎えに出てきた。
「お帰りなさいませ。エルノさま。……おや、その方は?」
「あぁ、彼女はたんぽぽ。……おばあさまのお使い、だそうだ。」
おじいさんは少し驚いた顔をしていたけど、そうですか…とそれ以上は言及されなかった。
招かれたお城の中は、なんだかとても静かだった。
執事のような格好の男の人や、メイドさんのような格好の女の人がいたけど、そんなに沢山の人は働いていなかった。
キョロキョロと辺りを見ていると、「何か面白いものでもあった?」とエルノに話しかけられた。
さすがに色々と見たりして失礼だったかな、と思いながら誤魔化す。
「えっ!?いや……お城って、もっと沢山の人が働いてるイメージがあったので…」
「僕一人の面倒を見るために働いてくれる人たちだからね。そんな沢山はいらないんだ。」
エルノはそう言いながら私を大広間に案内する。
大広間はとても広くて、修学旅行で行くホテルでよくある宴会場くらいの広さだった。