【完】ダンデライオン






「君のことも僕に教えてくれないかな?」





「え…?あ、ああっ!すっかり自己紹介を……!すみません!」






その言葉に、私は自己紹介をまだしていないことを思い出した。
王子だし、無礼にあたるのかもしれないと思い、焦った。





「私は、春川たんぽぽです!」





「たんぽぽ…?この国では聞いたことのない名前だなぁ」






エルノは初めて聞く名前に、少しビックリしていたみたい。



私の名前は、お花のたんぽぽからとった名前。初めて聞くってことは、『たんぽぽ』の花を知らないのかもしれない。






「たんぽぽ、知りませんか?春に咲くお花の名前なんです!黄色とか、白いのとかもあります!」




「春に咲く花…?」





エルノは私の言った言葉をおうむ返しのように繰り返してた。
その様子から見て、恐らく分かっていないみたい。




そして、少し考え込んでいた。
たんぽぽの花のことを思い出そうとしているのだと思って様子を見ていたけど、実際はそうではなかったみたい。






「春って、なに…?」





エルノが発した言葉は、私の想像を遥かに超えていた。