私が勢いよく男の人を見上げたら、その視線に気付いたみたいで「ん?」と返事をした。
金色の髪がサラサラとなびいた。
ヘーゼル色の色素の薄い瞳。色白な肌。
背が高く、スラッとしている。
日本人離れした、彫りが深めの端正な顔立ちにドキッとした。
まさか…本当に?この人が王子!?
「あ、あの…!」
とりあえず男の人に話しかけてみたものの、何て言えば良いんだろう…。
私が言葉が続かずにしどろもどろしていると、男の人から質問してくれた。
「お城の者に、用事があるの?」
男の人は常にニコニコしていて、柔らかい雰囲気に少し緊張がほどけた。
「あ…ハイ。私のおばあちゃんにお使いを頼まれて…」
「…!」
おばあちゃん、と名前を出した瞬間、男の人の片眉がピクリと動いた。
もしかして、おばあちゃんのこと知ってる?
話が通じそうだし、このまま男の人が王子なのか聞いてみよう!
「あの!…あなたが王子なんですか?」
「うん。」
アッサリ返事が返ってきた。
やっぱりこの人が王子なのか…。
おばあちゃんの伝言は、具体的に誰に伝えてとは言われてないけどやっぱり王様の方が良いよね…。
「そ、そうですか……えっと…王様とか、他の方は…?」
「いないよ。」
「え……?」
男の人は、きっぱりと言い切った。
「この城には、僕しかいない。」



