それにしても、この男の人…
明らかに年上の門番さんが敬語を使って、この人はタメ口だった。
それに、この人の鶴の一声で私はこの国に入れたようなもの。
何でこの人が「僕のお客様」って言うだけで、私はこの国に入れてもらえたんだろう?
あんなに怪しまれたのに。
やっぱり、お金持ちの人で位が高い人なのかな?
だから逆らえないとか?
ひとまず、門番さんによって大きな門は開けられた。
これで、あとはお城に行くだけ…!
「さ、入って良いよ」
「あ…は、はい。どーも…」
男の人は、ニコニコしながら私に入門を促す。
私は、恐る恐る足を進める。
門の隣で、さっきの門番さんが誰かに電話をかけていた。
「…あぁ。今俺が門を開けた。怪しい女だったんだが……王子が直々に、お客様だと言うものだからな…」
やっぱりあの門番さん、私のことを怪しんでたんだ…。
そりゃあ黒いローブ着て、黒い長靴の女が着たら間違いなく怪しいよね。
…それより、今、何て言った?
「王子直々に、王子のお客様って言うものだから」?
隣を歩く男の人をバッ!と見上げた。
私が立ち止まると、それに気付いた男の人も立ち止まった。
ま、まさか……この男の人って…!?



