「わ、私は怪しい者じゃないんです!」
「…じゃあ何者なんだよ」
門番さんの鋭い指摘にひるむ。
…そりゃあ、そうなりますよね。
…何て答えよう……。
「私、この国の者ではないですけど、お城の人に用があってですね……」
とりあえず笑顔!と引きつった笑みが浮かんだ私を、やはり怪しんだみたいだった。
「城の…?王子に何の用だ?」
「王子……?」
お城の人、としか私は言ってないのに。
何で王様とかじゃなくて王子が出てくるの?
いまいち理解出来ていない私の反応に、ますます門番は睨みつけるような目で見てくる。
「お前…この国に本当に用があるのか?」
「あ、あります!!!!」
こんなに疑われると困るな…
どうしよう……
さすがに騒がしかったのか、更に誰かやってきた。
…これ以上こんなごっつい門番さんに囲まれたら本当困るんですけど…。
と思ったら、やってきた人は細身の男性だった。
ハタチ前後くらいの若い男性で、特には鎧もつけてない。
少しヒラヒラしてるけど、普通の
服装。高級そうな布や仕立てだった。
お金持ちなのかな…?
髪の毛は綺麗な金髪で、サラサラしているのが見て取れる。
顔立ちも綺麗で、ニコリとこちらに笑いかけてきた。
「パット、何をやっているの?」
パットとは、目の前の門番さんの名前らしい。
名指しで呼ばれた門番さんは、ちょっと焦っていた。
「いえ、この女が王子に用があると……」
「えっ!?いや、私はこの国のお城の人に用があるだけで…!」
だから、何で王子に用があるって決め付けるの!?
意味わかんない!



