「え……?じゃあそれって……」
それを、おばあちゃんは知っているのかな…?
もう、魔法を解除出来ないことを。
狼は、言葉を続けた。
『あの人も、もちろん知っている。限りなく解除は不可能だ。
だが……あの人は諦めていない。魔法をかけた者がもういなくても、魔法を解除する方法を探している。』
「それで……本とか、文献とか読み漁ってるんだね…。」
おばあちゃんは、そんなことは全く言ってくれなかったけど。
そんな事情があったんだな…。
そこまで話すと狼は、歩きだした。
私も、慌ててついていく。
『……もうそろそろ国に着く。国に入るには、まず大きな門があって……私の案内はそこまでだ。私は国の中までは入れない。』
「えぇっ!?」
中まで案内してくれないの!?
お城までどーやって行けば…!?
『オオカミは、国の中には入れない。だから国の中のことは知らない。門には門番がいるが……まぁ何とかなるだろ。』
「はぁぁあああ!!??」
何でそんなにテキトーなのよ!
助けてよ!
そんな私の心はスルーされ、狼は立ち止まった。
そして私に向き直る。
『……私の名はマグノアと言う。お前の名は何と言う?』
「えっ…?たんぽぽ、だけど。」
『ふ……たんぽぽ、か…。珍しい名だ。…だが覚えた。森で何かあれば、私を呼んでくれ。もう防犯ブザーは鳴らすんじゃないぞ。』
「もう鳴らさないよ!!!!」
狼は、フッと笑った。
そして、身を翻して森の中に走っていった。
その背中を、見えなくなるまで見つめた。
「マグノア……」
狼の名を忘れないように、そっとつぶやいた。



