結構歩いたけど、まだお城は見えない。
ふと、視線を感じて隣を歩く狼を見る。
すると、目が合う。
狼は、私のことをすごくマジマジと見ていた。
「……?」
この狼、私のことを見てた?
聞きたいこともあったし、話しかけるいいキッカケかな…なんて思って狼に話しかけてみる。
「ねぇ、あなたに聞きたいことがあるんだけど……」
『何だ』
狼はこちらを見ることなく返事をする。…さっきの視線は何だったんだろ……。
「あなたは昔からこの森に住んでるの?」
『そうだな。もう50年は住んでいる』
「ごじゅ…!?」
いくら何でも、そんなに…?
すっごく長生きなんじゃ…
私のリアクションを見て、私の思考を読んだらしい。
『……野生の狼の寿命はだいたい5〜6年。飼育されての最高寿命は20年。』
「…は?じゃああなたは最高寿命すら超えているの!?」
つい大声が出てしまった。
狼は私をチラリと見たけれど、ツイ、と視線を前に戻した。
『………。あの人は、お前にこの世界のことを何も言わずにお使いに出したのか?』
あの人、とはおばあちゃんのことだろう。
この世界のことって……?
「魔法が存在する、雪の国……なんでしょ?聞いてるよ。」
そう返事をすると、狼はふぅ…と息を吐いた。
…えっ、何それ?ため息?
『…きっと、私にでも説明をさせるつもりだったんだろうな。』
と、呆れ口調だった。



