「えっと…私、おばあちゃんにお使いを頼まれてて。」
狼は少し私を見つめた後、ゆっくりと近づいてきた。
「えっ、なに!?」
『噛んだりしない。動くな。』
狼は私の足元にやってきて、黒いローブの匂いを嗅いだ。
その後私からすぐ離れた。何か分かったみたい。
『……あの人か。そうだな…この服からあの人の匂いがする。…お前のおばあちゃんなのか?』
この狼、おばあちゃんのこと、『あの人』って言った!
何か知ってるんだ!
「そ、そう!あなた、私のおばあちゃんのことを知ってるの?」
『………まぁな、』
この狼とおばあちゃんが、どういう交友関係なのか分からないけど、ひとまず助かった…。
もしかしたら雪の国への道のりを教えてくれるかもしれない。
「あの!私、おばあちゃんに頼まれただけで、この世界の人間じゃないんだけど……城に行きたいの。」
『………この世界のニンゲンじゃない……?…大体分かった。着いてこい。』
狼は、少し訝しんだようだけど、雪の国に連れて行ってくれると言った。
変なところに連れて行かれる不安もなくはなかったけど、おばあちゃんのことを知ってると言った狼を信じてみても良いのかなと思った。



