ジリジリと、2匹の狼に囲まれた。
前と後ろにいて、左右のどちらかから逃げ出そうと決めた。






その時、


「グルルルル…!!」






最初に鉢合わせた、私の目の前にいた狼が私を再び威嚇してきた。





そして私に近づいてくる。





「ひぃいい…!」





あまりの迫力に、後退したいけど、後からやってきた狼が背後にはいるし……。
背後の狼は全く動かないけど、このままじゃ……!




ど、どうしよう…!







ジワジワと、狼との距離が近づいていく。
やばい……ガチで、ここで死んじゃうかも……





『待て』






背後から、声が聞こえた。
低くて、少し篭った感じの声がした。




その声を聞いて、私に近づいてきていた狼は動きを止めた。






「え…?」






今の声で従うってことは、まさか、飼い主がいるの??




さっき背後から声がしたから、振り返ってみる。
けれど、誰もいなかった。






「………?」