ビービービービービービービー!!!!!!
防犯ブザーの音が、辺り一体に鳴り響く。
周りには森以外の何もない分、その音はとても反響した。
狼は、どこかに行くんじゃないかと期待したけど。
「えっ……何で動かないの…!?」
狼は全く動かなかった。
むしろ………
「アオーーーーーーーン!」
「アオーーーーーーーン!」
狼は天を仰ぎ吠えだした。
それはものすごい声量で、かなりの迫力だった。
私はビックリして、ブザーの音を止めた。
………なんか、コレって…仲間呼んでない…??
おかしいな……おばあちゃんはこういう時用に防犯ブザーをくれたんじゃないの!?
そんなことを考えつつ、狼が動いてくれないのでジリジリとした距離感は変わらない。
私の汗の量が増えてきた。
その時。
タタッ、タタッ……
また、何かの音がする。
これって、まさか……
まさか!!??
足音は、もうすぐそこまで来ていた。そして音は背後からしていた。
まだ雪の影響で、白んで見にくいけれど。残念ながら、大体察しがつく。
もう、恐怖と同じくらい諦めの気持ちが生まれた。
だって……もう一匹、別の狼が来たんだもん。



