『たんぽぽちゃんへ



本当は直接言いたかったんだけど、手鏡に手紙を入れて伝えるような意気地なしのおばあちゃんを許してください。



たんぽぽちゃんには、雪の国のことで色々辛いことを経験させてしまうと思います。



本当にごめんなさい。



おばあちゃんは雪の国の魔法をとくために、この世界で、雪の国の女王とほぼ同じ遺伝子を持っている人を探していました。



それがたんぽぽちゃんだった。





そこで私は、魔法を使ってたんぽぽちゃんのおばあちゃんになりすました。


たんぽぽちゃんのママが、おばあちゃんのことで反応が鈍いのは実の親じゃないからです。





最初は、そのためだけに近付いたんだけど、たんぽぽちゃんは優しくて、人の感情に敏感で聡明な子で。
おばあちゃんは、たんぽぽちゃん自身がすごく好きになりました。




本当に大好きだよ。



それなのに、たんぽぽちゃんが辛いことを経験するかもしれないことを承知で、何も言わずに雪の国へ行くようお願いしました。




おばあちゃんはひどい人です。
本当にごめんなさい。



たんぽぽちゃんが、いつこの手紙を読むか分かりませんが、もしも全てが終わってから読んだ時には……おばあちゃんは異世界に戻っているはずなので、もう会うことはできません。




それがたんぽぽちゃんにとって良いことか、悪いことかは、きっと時間がたたないと分からないことです。



だけど、いつかおばあちゃんと出会えて良かったと、たんぽぽちゃんが思ってくれたら嬉しい。



おばあちゃんは、いつもあなたの幸せを祈っています。
辛い時、苦しい時も、おばあちゃんはいつも傍にいます。
決して一人じゃないよ。



そして、どんな時もたんぽぽちゃんらしく、そして夢を持って生きてください。



あなたは、素晴らしい魔法使いになれることでしょう。



大好きなたんぽぽちゃんへ。
限りない愛を込めて……



おばあちゃんより』








【完】